平成16年2月15日発行のメールマガジン第3号で、株券の発行義務がなくなるように商法が改正されるとの記事を載せましたが、これは平成16年3月5日に提出され、同年6月2日に成立した「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律」により実現しました。平成13年から進めてきた証券のペーパーレス化の最終段階の改正となります。
株式会社は定款により株券の発行を廃止することを定めることができるようになります。今までも株券不所持制度というのはありましたが、株式を譲渡する場合には株券の交付が必要でした。今回の改正によって、株券を発行せず、株式の譲渡は当事者間の契約によって可能になったのです。
ただし、株式の譲渡人と譲受人とが共同で会社に対して株式譲渡の届出をして株主名簿の変更をしてもらわなければ株主の権利を行使できません。また、株主名簿の変更をしていなければ、譲受人が別の人に譲渡しようとする場合に困ったことになりますし、譲渡人が別の人に譲渡して、その人が先に株主名簿の変更をしてしまえば、そちらが優先することになります。
実務の運用では、後日の紛争を予防するために、不動産登記のように申請書に実印を押印して印鑑証明書を添付することが要求されるようになるのではないかと想像されます。
株券廃止 その2
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